市指定重要有形文化財 
出崎山神社拝殿(でさきやまじんじゃはいでん)
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名称 出崎山神社拝殿(でさきやまじんじゃはいでん)
指定年月日 平成4年3月26日
概要 身舎 桁行4.48m、梁間4.46m
向拝 桁行1.71m、梁間1.63m
三間社流造、桟瓦葺
所在地 安佐北区白木町大字古屋351

 三篠川の支流である栄堂川沿いに出崎山神社はあります。もともと今より南の八幡原と呼ばれる地にあったものが、16世紀の終わり頃、今の地に移ってきたと伝えられています。この出崎山神社の中で一番大きな建物が、礼拝するための施設である拝殿です。拝殿は残っている棟札によって、江戸時代の中頃の享保20年(1735)に再建されたことが判明しています。
 建物の形式は、安芸地方で最もよくみられる神社建築の形式である三間社流造(さんげんしゃながれづくり)となっています。三間社流造とは、正面から見たときに柱間が三間あり、屋根の一方がゆるやかな反りをもって流れるように延びている神社建築をいいます。
 建物をよく見ると、室町時代の終わり頃と思われる材料が多く使われており、細部の装飾も室町時代によくみられる形式が用いられています。こういう状況からみて、江戸時代の再建は、最初に八幡原で建立された建物の材料を再利用しながら、建物の形式をも忠実に模したものと考えられます。現在では、桟瓦葺(さんかわらぶき)となっている屋根もいつの時期、状態を指すかは明らかになっていませんが、藁葺(わらふき)だった時代もあるようです。
 広島市域内で残存している最も古い神社建築は、江戸時代初期に建立された東照宮の建物であり、室町時代の建築のものが現在のところ確認されていません。こうしたことから、再建ながら室町時代の建築様式の概要を伝える出崎山神社拝殿は、本市域における室町時代から江戸時代にかけての推移を示す貴重な遺構といえるものです。

「広島市の文化財」広島市教育委員会編より。
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