トンガ坊城跡調査日誌

  平成17年6月13日(月)〜安佐北区可部町の「トンガ坊城跡」で発掘調査がはじまりました。この遺跡は、中世の山城跡と考えられます。
発掘調査は始まったばかりですが、作業のようすや、出土した遺物などの情報をどんどん出していく予定です。お楽しみに!!

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<6月17日>

1日目から暑い日でした。
「ヨッシャー!!わしらがほったるでー」
地元の方も多い中、気合は十分です。長い調査ですので、体に気をつけて・・・
 まずは、遺跡がどんなふうに埋まっているか知るために、細長い溝を、ドドーンと掘ります。これをトレンチといい、どんな調査でもかならず行う作業です。あついー!という声が聞こえてきそうな天気です。
撮影:三入フォトクラブ 川西 瑞人 さん


<6月22日>

何かでてこないかなあ・・・ 土器のかけらが出てきました。まわりをていねいに掘っていきます。


<8月3日>

発掘した土を排出するため、ベルトコンベアーを設置しました。夏の暑い中、重い重いコンベアーを運び、汗だらだらで、しばらく筋肉痛に苦しみました。 トレンチの中は、全く風が吹きません。瞬間最高温度50℃!!でも土器が見つかると笑顔がでます。


<11月1日>

三入中学校の皆さんが見学に来られました。皆さん
熱心に質問をされました。
土器を手にとってじっくり観察。

<12月5日>

遺跡に初雪がふりました。うっすらと見える青のシートの下に遺跡があります。 もはや別世界の景色のよう・・・多いところで20cmばかりつもっていました。

<2月17日>

発掘調査には土を掘る以外にもいろいろな作業があります。今回はその一部を紹介します。

遺跡には直径1m近くあるアベマキの木(とても硬い)の切り株がたくさんあります。ハイパワーなスウェーデン製のチェンソーで切断します。 一週間の終わりには土を捨てるためのベルトコンベアーを掃除します。これをしないとベルトコンベアーがすぐに動かなくなるのです。

<3月15日>

尾根上の山城の施設が出たので、航空写真を撮りました。詳しくはとんがぼ第5号

調査範囲の一番上からは大林〜三入〜可部の町並みが一望できます。

<5月11日>

尾根の上にある弥生時代の家の跡の発掘開始。
家の中からは何がでてくるかな?
別の家の真ん中から、ほぼ完全な形で、コシキ形土器と呼ばれるとっ手がついた土管のような形の土器が出てきました。何に使ったものか謎です。

<5月25日>

調査で細かいところを掘るときには、スプーンや中華お玉、竹串(焼き鳥に使う竹串です)など台所用品もつかいます。 写真:スプーンで溝を掘る(矢印) 左から、竹べら・スプーン(2つ)・移植こて・草削り(通称ガリ)。他にも色々な道具を利用します。

<7月3日>

前回(5月11日)出てきたコシキ形土器の下にお皿のような土器(高坏の上側部分)がでてきました。 土層などの観察から、どうも上からコシキ形土器が落ちてきたようです。

<7月13日>

ほとんど割れていない土器が出てきました。下側が壺、上側がひっくりかえった高坏です。 2つとも上から流れてきたみたいです。

<7月26日>

別の住居の中からコシキ形土器が出てきました。前回出てきたものとは、少し形が違います。


<8月1日>

「あれは、何だろう?」
この日は午前中から、不思議な物体が調査現場の上空を飛びました。
その正体は、空中から調査現場の写真を撮影する気球でした。気球の下にはカメラが付いています。撮影した写真は後日公開します。

<8月3日>

テントの日陰に置いている温度計は、ついに38℃に達してしまいました。暑くてみんなバテバテです。

<8月9日>

とうとう40℃に・・・。日陰なのに・・・。(T_T) 水浴びでもしたかのように汗がしたたり落ちます。

<8月10日>

8月1日に撮影した空中写真ができました。
青い屋根のテントが休憩場所です。
調査現場を真上から撮影したものです。

<8月20日>

「夏休み発掘調査隊inトンガ坊城遺跡」が開催しました。参加した子どもたちみんなが真剣に説明を聞いています。 発掘に初挑戦。この日も暑く、さらに斜面での作業だったので、少し大変でした。
家の中の柱穴を実測中。ちゃんと測れてるかな? 土器を1個づつ測量しながら、取り上げます。ちゃんと見えてるかな?

<9月7日>

2軒の住居が重なりあっています。1軒目(左側)は火事にあった住居で、材木が炭になって残っています。2軒目(右側)は1軒目を少し壊して建てられた住居です。

<9月12日>

人骨がすごく良い状態で残るお墓が見つかりました。出土品や埋まり方から、弥生時代のおわりから古墳時代にかけてのものと考えています。 お墓の中からは直径3ミリほどのガラス小玉(ビーズ)が約150個も出てきました。首飾りにでもしたのでしょうか。

<9月21日>

古人骨の専門家である土居ヶ浜遺跡・人類学ミュージアムの松下先生が人骨の取り上げを行っていただきました。 松下先生によると、骨の主は30〜40代の女性で、身長が160cmほどだそうです。これから分析してさらに詳しいことが分かります。(写真は頭骨)

<9月25日>

住居内の炉の上から、この現場3個目のコシキ形土器が出土しました。ドーナツ形の把手には、木の根が丁度はまり込んでしまってました。 コシキ形土器の下には、甕が真上からペチャンコに押しつぶされた状態で出土しました。

<9月30日>

『市民発掘体験隊』が開催されました。朝から天気もよく絶好の発掘日和になりました。 土をよく見ながら、ガリで少しづつ土を掘っていきます。何が出土するか皆さんワクワクしながら作業を進めてました。
出土した遺物は、測量して図面に位置を記録してから、取り上げを行いました。 お昼休憩には、レプリカの弥生土器の甕で古代米を炊いて、みんなで試食しました。おいしくてとても好評でしたよ。

<10月24日>

今日は、朝から小雨が降ったり止んだりする天気でしたが、お昼すぎにはいい天気になり、現場の東の尾根に『虹』がかかっていました。 午後からは、三入中学校1年生の生徒さんが現場に見学に来られました。
実際の遺構(竪穴住居)の周りで説明をしましたが、興味が湧いてきたでしょうか? 中世以降のお墓からは、骨の一部が出てきていたので、みんな少しビックリしてましたね。少し気持ち悪い感じがしますが、きっちりと調査しますよ。

<12月6日>

またまた住居内の炉の上から、この現場5個目のコシキ形土器が出土しました。ペチャンコにつぶれてはいますが、よく残っています。 この新しく出土したコシキ形土器、よく見ると牛の角のような取手が見えているだけで4つ付いています。広島で初めて出土した形のもので、めずらしいものです。取り上げた後の復元が楽しみです。

<2007年1月29日>

急斜面の竪堀の中を掘ってみると、またまたコシキ形土器が出土しました。 このコシキ形土器は、7月3日や9月25日に出土したコシキ形土器と同じ肌色の土で作られています。

<2007年2月24日>

今日は青空ミュージアム(現地説明会)の日です。なんと遺跡には650人もの人が来てくれました。 竪穴住居跡もまじかに見れます。「思ったより広い」という声が多かったです。
出土した土器の一部も展示しました。 皆さん熱心に見て、話も盛り上がりました。

<2007年3月13日>

今日は航空写真撮影の日です。撮影はラジコンヘリコプターにカメラを積んで行います。 写真撮影のため竪堀を掃除しています。それにしても急角度です。

<2007年3月16日>

航空写真ができあがりました。所狭しと遺構が並んでいます。 今日が現地調査の最終日です。最後にみんなで記念撮影。皆様ご苦労様でした。