■解説 〜前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)出現〜

 3世紀後半以降、ひろしまにも初期の前方後円墳のひとつである中小田(なかおだ)第1号古墳が造られました。竪穴式石室(たてあなしきせきしつ)を埋葬施設とし、ヤマトとのつながりを示す三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)や車輪石(しゃりんせき)といった器物が副葬されたこの古墳には、当時のひろしまをまとめていた首長が葬られたのでしょう。
  古墳時代前期のひろしまでは、中小田第1号古墳以外にも、太田川流域では中小田第1号古墳に先行して造られたと考えられる宇那木山(うなぎやま)第2号古墳、ほぼ同時期と推定される神宮山(じんぐうやま)第1号古墳など、八幡川流域では倉重向山古墳といった前方後円墳がそれぞれ造られています。これらの前方後円墳のいずれもが、現在よりも内陸にあった河口付近の丘陵上に位置していることから、葬られた人物は沖積平野の掌握(しょうあく)だけでなく、内海航路による交易に関わり、大きな力を持っていた首長ともいわれています。

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