■短甲(たんこう)〜古墳時代の先端技術〜

 短甲とは古墳時代の代表的な「よろい」です。初期の短甲は比較的小さな鉄板を革ひもでとじるため、とじる穴の位置に多少の誤差があっても作ることができました。その後、鉄の板を鋲(びょう)で留(と)めていく短甲があらわれ、鉄板も大きなものが使われる様になります。この鋲留(びょうどめ)技法は朝鮮半島から伝わった先端の技術で、いったん型を作ると大量生産することができます。しかしながら、革紐でとじる短甲の製作に比べ、厳密な設計図と高い鍛造技術が必要となります。また、この短甲は畿内の古墳から数多く出土しています。以上のことから、鋲留短甲は畿内で大量生産し、地方に配付したもので、受領した人物は畿内政権の軍事的組織の一翼を担った人物ではないかと考えられています。
 ひろしまの古墳から出土した短甲は、いずれも後者の鋲留短甲でした。

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