■解説 〜須恵器を見る〜

 須恵器は、頑丈で割れにくく、水もれが少ない青灰色(せいかいしょく)の土器です。須恵器がそれまでの焼き物の作り方と違っている点は、穴窯(あながま)を使用して焼いた点です。穴窯は、緩やかな斜面をトンネル状に掘り込んで築くため、熱を逃がさず、1200度の高温に達します。そして最終段階で、たき口を閉じ、酸素の供給を不十分にして燃やすことで、酸素が還元されるため、青灰色に仕上がります。
 貴重だった初期の須恵器は、古墳の副葬品として死者を弔う葬送の儀式に使われました。やがて、日常生活に使われるようになり、盛りつけに使う坏や液体を入れる壺・瓶など様々な形のものが作られました。しかし、須恵器は火に弱いため、煮炊きには土師器(はじき)と呼ばれるこれまでと同じような素焼きの土器が使われていました。
 ここでは市内出土の須恵器を器形別に見ながら、須恵器の世界をお楽しみください。

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