■解説 〜はじめに〜

 平安時代の末、平氏の隆盛から源氏による鎌倉幕府の成立を通して、政治の中心は貴族から武士へと移り、新たな時代=中世がはじまります。
 鎌倉時代初期、幕府から各地の守護や地頭として任命された武士達は、鎌倉時代末期以降任地に土着し、守護大名や国人領主として各地を治めるようになります。彼らが領地を守り支配するため盛んに築いたのが山城です。山城は中世を象徴する遺跡として、広島市域でも多数発掘調査が行なわれており、当時の武士達の暮らしぶりや中世社会の様子を我々に教えてくれます。
 中世は、経済が急速に発展した時代としても知られています。全国に散らばる荘園から都へと大量の物資を運ぶため、従来の街道に加え、海や川などの水上交通路が整備されました。交通の要所には市が立つようになり、各地の特産物や、遠く中国大陸からもたらされた陶磁器なども商われていました。平安時代に始まった日宋貿易を起点に、日本が本格的な貨幣経済へと移行しはじめたのもこの頃です。

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