■解説 〜荘園の発展と武士の誕生〜

 地方の豪族や有力農民=開発領主は、重い国税から逃れるために、領地を中央の貴族や寺・神社に寄進(寄付)し、自身は現地管理者として実質的に支配し続ける道を選びます。こうして、貴族や大寺社もとに集まった私有地が荘園で、平安時代後期以降爆発的に増大します。
 開発領主達の多くは、領地を守るため家族・親族(家の子)や支配下の農民等(郎党)を組織し、武装化してゆきます。一般的に彼らが武士のルーツと考えられています。武士達は互いに主従関係を結び武士団を形成していきますが、特に桓武天皇を祖とする平氏や、清和天皇を祖とする源氏は、多くの武士を配下に治め「武家(武門)の棟梁」と呼ばれました。
 前九年の役・後三年の役(※)など地方の騒乱を経て、武士達は徐々に力を伸ばし、やがて権力の表舞台に登場することとなるのです。

※ 前九年の役・後三年の役:11世紀後半に東北でおこった戦乱。源氏と関東武士との関係を強めた。

×閉じる