瀬戸内海は北部九州から近畿を結ぶ大動脈であり、広島湾頭にも様々な文物がもたらされました。広島市域でも、主要な市の推定地付近で調査された古代・中世の遺跡から、和泉(大阪府南部)産の瓦器碗や備前焼、中国産の青磁や染付けが出土しており、国内各地はもとより東アジアまで広がった当時の交易の様子がうかがえます。
平清盛が盛んに行った日宋貿易を起点に、中世の日本は本格的な貨幣経済に移行します。このとき用いられたのは、主に中国から輸入された大量の銅銭でした。広島市域でも、山城など中世の遺跡から輸入銅銭が出土しており、当時の広島市域の経済活動がグローバルで活発だったことを教えてくれます。
中世の遺跡からは、甕や頑丈な木箱に納められた大量の銅銭が発見されることがあります。大切な財産を厳重に隠していたのでしょう。銅銭の価値が広く認められていたことがわかります。
写真提供:広島県立歴史博物館 ※転載禁止
■白磁(東区北谷山城跡)
■龍泉窯系青磁(佐伯区有井城跡)
■天目茶碗(佐伯区有井城跡)
備前焼(佐伯区池田城跡)