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■安芸国広島牡蠣畜養之図「大日本物産図会」(広島市郷土資料館蔵)
 紙本彩色 明治10年(1877)

 北海道から九州までの日本全国の名産品を国ごとに描いたもので、この中に広島牡蠣が紹介されています。
 広島湾は太田川が運ぶ栄養分によってプランクトンが豊富に育つ環境であったことから、牡蠣の生育に適した地域です。江戸時代に干潟で養殖された牡蠣が藩の名産となりましたが、中でも安芸郡海田市村(現安芸郡海田町)、同郡仁保島村(現南区)、佐伯郡草津村(西区)の3ヶ所が有名でした。特に草津村は、元禄年間(1688~1704)に牡蠣株仲間を結成し、大阪での販売独占に成功したことから広島産牡蠣の知名度向上に大きな役割を果たしたとされています。
 牡蠣の養殖は、現在ではいかだ式垂下法が主流ですが、当時は篊立(ひびだて)養殖法という、干潟に竹や木の枝を立て、稚牡蠣を付着させ、ある程度成長したら干潟に移して育てる方法が用いられていました。

保存・転載禁止 安芸国広島牡蠣畜養之図

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