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■広島本川川ざらえ町中砂持加勢図(広島市立中央図書館浅野文庫蔵)
 文久2年(1862) 木版単色刷 一枚物 三舗

 本川(太田川)の河口付近に土砂が堆積して川床が高くなると舟運に差し支えることから、藩では町人たちに、土砂を取り除く砂堀り作業をさせました。これを「砂持加勢(すなもちかせい)」と言います。文久2年に町人総出で行われた、ただ一度のイベントで、5月7日から13日までの1週間、59組に及ぶ町が町名にちなんだ仮装をし、山車(だし)に仕立てた「砂持台」(運搬車)や屋台を引いてパレードを行いました。
 本来は四舗で一組の瓦版ですが、各町が趣向を凝らしている様子が読み取れます。これ以外にも砂持加勢の出し物を評価する番付の瓦版も配布され、当時の盛り上がりをうかがい知ることができます。

保存・転載禁止 広島本川川ざらえ町中砂持加勢図

 ※転載禁止

保存・転載禁止 広島本川川ざらえ町中砂持加勢図

 ※転載禁止

保存・転載禁止 広島本川川ざらえ町中砂持加勢図

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・砂持加勢図部分(東魚屋町)

 大きなタコを作り、その前をタコに仮装した人が踊っています。魚屋が多かった町にふさわしい出し物です。また、タコは「多幸」に通じることから縁起の良いものとされていました。

保存・転載禁止 砂持加勢部分(東魚屋町)

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・砂持加勢図部分(稲荷町)

 宝珠と鳥居で飾った「砂持台」に、狐の仮装をした人々が従っています。これらは町名の由来になっている稲荷神社を表しています。

保存・転載禁止 砂持加勢部分(稲荷町)

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・砂持加勢図部分(鉄砲屋町)

 フグの作り物をし、若者と子どもが船頭の出で立ちをし、2人ずつ組んで舞いました。フグは「当たると必ず死ぬ」ということから、別名鉄砲と呼ばれ、そのため屋台のデザインに取り入れられたのです。また、フグには縁起ものの当たり矢が添えられています。

保存・転載禁止 砂持加勢部分(鉄砲屋町)

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・砂持加勢図部分(竹屋町)

 若者がトラの仮装をして踊っています。2台ある屋台の一つは、竹の造り物が飾られています。町名にも含まれる竹とトラの組み合わせは、頻繁に画題として取り上げられ、古くから好まれた組み合わせです。

保存・転載禁止 砂持加勢部分(竹屋)

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