×閉じる

■ゲベール銃とミニエー銃

 幕末の銃の弾丸は、丸い球形弾と椎(しい)の実形の拡張弾に分けることができます。
長州征討の際、広島藩で多く使われていたゲベール銃は球形弾を使う銃で、球をそのまま射出するので、放物線を描いて弾が飛ぶため、命中度も低く、射程距離も短いものでした。
 一方、長州藩が主に使用したミニエー銃は、拡張弾を使う新型の銃で、銃身内部に施条(しじょう・らせん状の溝)を持ち、椎の実形の拡張弾が施条に触れ回転運動がかかり、球形弾を使う銃に比べ飛距離も直進性も格段に向上し、命中度も高くなっています。

 

■ゲベール銃とエンフィールド銃(鳥羽ミニエー銃)
広島城「長州戦争と広島」より転載

 上の銃が、幕末の西洋式歩兵銃の代表と言える銃です。銃身の前から弾をこめる前装式で、球形弾を用います。欧米においては、銃身内部に施条がないゲベール銃は、すでに旧式であるため、余剰銃として日本に多く輸入されました。写真の銃は銃床に“芸武”(芸州講武所)の焼印があり、幕末の広島藩で使用された銃です。
 下の銃は、銃身内部に施条があり、ゲベール銃に比べ飛距離や命中精度も格段に高いものになっています。元々のエンフィールド銃は、前装式ですが、写真の銃は手元で弾をこめる後装式に改良後のもので操作性も向上させています。
 エンフィールド銃の種類の中にはTOWERの刻印があるものがあり、幕末にはこれをオランダ語読みしてトバーと読み、鳥羽ミニエー銃とも呼ばれました。

ゲベール銃

エンフィールド銃(鳥羽ミニエー銃)

×閉じる