三浦教授と行く 広島歴史探訪バスツアー
近現代建築

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 2月14日(土)に開催した時空バスツアー第4弾の行き先は、日本の目覚しい進歩の軌跡を象徴する近現代建築。
何気ない日常の光景に溶け込んだその姿の中には、知られざる数々の技術と歴史的エピソードが込められていた
のです。「時の案内人」は広島大学大学院の三浦正幸教授。見慣れていたはずのものなのに、発見と感動が連続
する旅となりました。

nobori gangi
当日は天候に恵まれ、絶好の散策日和でした。朝一番に訪れたのは「世界平和記念聖堂」。1954年竣工のこの建物は、戦後の建築では初の国重文です。平和への想いを鉄筋コンクリートで形づくった荘厳な佇まいだけでなく、細部の工夫や日本的意匠の取り入れといった見所は尽きず、そこに用いられている一昔前の技術となった「人造石」の話題だけでも、参加者の皆さんは感心しきりでした。 「世界平和記念聖堂」から歩いてすぐの京橋川の雁木。どれも同じ石垣に見えますが、じっくり見ると石の加工具合や積み方に違いが。それは時代ごとの技術の変遷を物語る「石垣博物館」だったのです。三浦教授の謎解きに、ここでも多くの「新発見」が!
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「平和記念資料館」本館もまた、戦後の建築としては初の国重文。すっかり広島の顔の一つとなったこの建物は、建築としても広島が誇る「宝」でした。美しい曲線を持つコンクリートの柱の下で、その技術や建築時のドラマに皆さん想いを馳せました。 平和記念公園の中でレストハウスとして親しまれているこの建物は、爆心地にあって壊滅を免れ、縦長の窓など、今なお昭和初期の竣工時の面影を良く残しています。その鍵は“耐久性”。呉服店、燃料会館、そして原爆といった変遷を経て、今なお元気に頑張り続けていることに、皆さん改めて「そうだったのか…!」。
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レストハウスの地下にも入りました。ここはまるで時が止まったかの様に、原爆の瞬間、たまたまここにいた1人のみが助かったという、当時のままの様子を留めているとされます。 最後に訪れたのは原爆ドーム。レストハウスとほぼ同じ場所にありながら、“耐久性”不足のため完全に廃墟となってしまったとのことです。共に爆心直下にありながら、一方は現役、一方は無残な姿を留めたことで平和の象徴となったのでした。ここは、二つの異なる運命をたどった建物が、川をはさんで向かい合う稀有の空間でもあったのです。思いがけない発見と感動の連続に、皆さん充実した一日となった様子でした。