「ハッチョウトンボ」は、1円玉ほどの日本一小さいトンボです。湿地にすみ、絶滅が心配されるこのトンボが、福田の休耕田で発見されました。そこで、ハッチョウトンボの観察と地域の歴史を学びながら、昔ながらの栽培方法で「古代米=ハッチョウトンボ米」を育てるユニークな活動が、広島市こんちゅう館、(財)広島市未来都市創造財団 文化財課・福田公民館、地域の皆様と一緒に行っています。昨年度に続き、この事業も2年目となりました。今年はどのような出来事がまっているのでしょうか

・11月24日(土) 大好評!ふりかえりと試食会

 いよいよ最後のイベントがやってきました。当日は福田公民館まつりの日、これまでの活動をスライドでふりかえり、その後に収穫した古代米を土器で炊いて試食しました。また、活動を紹介する展示ブースも設け、一般のみなさまに紹介するとともに古代米の一口試食もおこないました。
 今後は古代米のワラを使ったしめ飾りづくり、古代米のとぎ汁での染色、古代米の洋菓子・和菓子づくりを開催する予定です。余すところなく楽しむ予定です。詳しくは福田公民館まで。

展示ブースで活動を紹介。「えー、こんな楽しそうなことをしてたんだ。」「こんな小さいトンボが福田におるん?」との声がたびたび聞こえました。 土器でお米を炊飯中。炊飯器なんか目じゃないおいしさです。
午前中の一口試食の一場面。「おいしいー」とむらがるこども達。15分も立たないうちに100食分が無くなりました。 スライドでふりかえり。思い出してはなつかしく、笑い声もたびたび上がりました。
参加者からの感想を発表。楽しんで学んでいただけたのが何よりです。 いよいよ試食です。ヤマイモ・むかご・鶏肉と赤米・黒米の炊きこみごはん、紫黒米のみのもっちもちご飯、土器で炊いた赤米と白米の赤飯、そして9月にとったイナゴのつくだ煮をたべました。「気持ち悪ーい」と言っていたイナゴの佃煮はそのおいしさであっという間になくなってしまいました。

・10月20日(土) まちにまったイネ刈り

 無農薬・無肥料で田んぼに来る生物を観察しながら古代米を育て、直前にはシカに入られるというアクシデントもありましたが(詳細は学芸員のひとことへ)、無事にイネ刈りを迎えることができました。今年も弥生時代の方法=石庖丁(いしぼうちょう)を使って稲の穂だけ刈り取る「穂摘み・穂首刈り」をしました。今年も水は抜いていませんが、イネ刈りの時期には田んぼの中の水は干上がりつつありました。しかし、すぐ横の遊地には田んぼから避難した生物たちがたくさんいました。

まずは生き物観察。5分もしないうちに大量の生き物たちが見つかります。 みつけた生き物を集めて説明。いろいろなヤゴや珍しいゲンゴロウまで、田んぼが豊かであることの証明です。
「そういえば田んぼアートは?」手前がシカに食べられていて良くわかりませんが、トンボにみえないことはない。 次に福田歴史保存会の中村会長から、福田の歴史についてお話がありました。
弥生時代のイネ刈りについて説明。本物の石庖丁を手に取り観察。 イネ刈り開始!慣れるまではうまくいかない。コツを得ると力も入れずにポキポキ摘み取れます。
大人も子供もみんなでイネ刈り。大人たちからは「腰が・・・」の声も。 モミを熱心にむぐ子供達。何をしているかって?むいだ生米を食べているのです。ほんのりと甘い紫黒米が人気です。「赤米は?」「普通のお米みたい…」
最後は収穫したイネを前に恒例の記念撮影。皆さまお疲れさまでした。 刈り取った稲穂は文化財課の屋上で毎日天日干ししています。次回の試食にこうご期待!

・9月8日(土) イナゴ捕り(メンテナンス)

 9月に入り古代米の穂も出てきて、早くも赤米の穂はこうべを垂れてきました。今回のメンテナンス田んぼにいるイナゴ捕りです。農薬を使っていなく自然に優しい古代米づくり。葉を食べるイナゴを手で捕っていきます。きっと古代人たちもイナゴを捕っていたはず。捕ったらどうするかって?それは今後のお楽しみ…

田んぼアートのトンボの部分の赤米の穂。いい具合に実ってます。 「はよいれて!」カゴに入れるのも一苦労。前に入れたものが逃げないように工夫して入れます。
この日はこんちゅう館に学芸員実習に来ている大学生のお兄さん・お姉さんも参加。 抱っこされながらも恐る恐る協力。
カゴの中には大量のイナゴみて、「食べるの?食べるんでしょ?」。カゴを持ち上げると、イナゴが驚いて一斉にはねてカゴにぶつかりすごい音がします。 最後はイナゴを持って恒例の記念撮影。皆さまお疲れさまでした。

・8月4日(土) ハッチョウトンボ&夜間観察会とメンテナンス

 7月の実施予定が中止となり、少し時期が遅くなってしまったハッチョウトンボ観察会でしたが、なんとか雌雄とも見ることができました!その後、夜からは夜間観察会も実施し、盛りだくさんな一日になりました。

まずは田んぼの横の草むらでハッチョウトンボさがしです。とっても小さいトンボ。見つけられるかな? いました!こちらはメス。
この後、田んぼの一段上の草むらでオスも発見!
トンボ観察のあとは、田んぼに入って草取り(メンテナンス)をしました。6月に植えた苗がかなり大きくなっています。 このあとも元気に成長するように稲の根元をきれいにします。
今年は田んぼを守ってもらうかかしの顔をみんなで分担して描きました。うーん。なんとも味のある顔に・・・ かかしを田んぼに立てて記念撮影。しっかり稲を守ってね!
そして、夜は夜間観察会です。白い布を張ったところにはたくさんの虫たちが集まってきました。どれどれ・・・? これは何虫かな〜?
でっかい ガ が!! 最後にみんなで記念撮影。おつかれさまでした!

・6月12日(火) ハッチョウトンボが飛び始めました!

 獣対策の電気柵とネットが、イノシシかシカなのか?に壊されていたためなおしに行きました。水田の中は無事でした。ふと横を見るとハッチョウトンボが・・・

何かの獣でしょうか?電気柵のポールがぽっきりおられていました。  折れていたポールを交換して修理完了!水田を荒らされるのは困りますが、弥生人たちは水田に来る獣たちも食料になるのでそれはそれでよかったのかも?
ハッチョウトンボのオスがとまっていました。赤トンボに見えるかもしれませんが1円玉ほどの大きさしかないんですよ! こちらはハッチョウトンボのメス。小さいのでよく目をこらさないとアブと間違えるかも?

・6月2日(土) 自然観察と田植え

 待ちに待った田植えの日です。天気も暑からず寒からず、絶好のイベント日和でした。

最初に自然観察です。この田んぼにはどんな生き物たちがいるのでしょうか。  「何かいないかな」 ザルをつかって泥をさらい生き物を見つけます。
 
古代人も一緒に観察!「ハッチョウトンボのヤゴはいないかなあ?」 「いた!ハッチョウトンボのヤゴ!」指の先にいるのがみえますか?
   
みつけた生き物たちを大きさ別にトレーに分けます。よその田んぼでは見られない生き物たちがたくさん見つかりました。 生き物たちの説明です。イモリ・オタマジャクシ・クロゲンゴロウ・ガムシ・オオコオイムシ・タイコウチ・マツモムシ・様々なトンボのヤゴたち・・・・大人も子供も熱心に説明を聞きます。
観察した生き物たちは田んぼに戻します。彼らにはこれからの古代米づくりの大切な役割があります。 いよいよ田植えです。今年の目標のひとつ、タンボアート!まずはヒモで囲った範囲に、赤米の苗をトンボの形に植えていきます。
トンボの形に赤米の田植え終了。秋には真っ赤なトンボが出現するはず。 次に紫黒米をヒモの目印の位置に3本づつ植えていきました。等間隔に植えていくもの意外と難しい。
「ワイルドにこけてやったぜー」「全然気にしないぜ―」
昔の子供達も絶対やっていたはず。
大人はトンボの形の赤米の隙間に紫黒米を植えていきます。「田んぼアートの良し悪しはここにかかっているのでは?これは責任重大かも?」と真剣に植えていきます。
田うえも終わりに近づきました。皆さんの協力でとても奇麗に植えることができました。 最後に記念撮影。これからもっと楽しいことや発見がありますよ!

・5月19日(土) オリエンテーション

 初回は福田公民館でオリエンテーションを行いました。「生き物との共存」というこの事業のテーマの説明や自然観察についてをこんちゅう館から、歴史と古代米については文化財課から説明がありました。この後、ハッチョウトンボ米づくりをする田んぼの見学を行いました。(レポートはこちら)

スライドを見ながらこの事業の目的や、昨年度の様子をふり返ります。  遺跡から出てきた弥生時代の炭になったお米や、吹きこぼれのついた土器など、古代米に関わるものを紹介。本物の土器もさわりました。
さっそくひとしごと!トラクターのかわりに歩いて土をかき混ぜます。「早く植えたい」という声も。  昨年から水を抜いていない田んぼ。そこはすでに生き物たちの宝庫です。
「イモリはいやーっ!」と叫んでいた子たちも終わりの頃は笑顔でパチリ! みんなで記念撮影!これからの期待とやる気を胸に掛け声でパチリ。 
午後からはスタッフで次の田植えの準備。今年は新しい試みのひとつとして、「トンボの田んぼアート」を行います。はたしてうまくできるのか?