WEB博物館企画展第4弾 「ひろしま考古生き物図鑑」



緑深い日本の野山には、
様々な生き物たちがひそみ、
神聖視されたものたちもいました。
大型のケモノは狩りの重要な対象であり、
骨や角は道具の材料となりました。


 サル
 
分類  哺乳類 サル目 オナガザル科(ニホンザル)
分布  本州、四国、九州などの山林
 ニホンザルは世界のサルの仲間で最も北にすむサルです。群れをつくって行動します。愛嬌者、いたずら者として古くから日本人にとても親しまれるとともに、神の使いとされることもありました。「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿でもおなじみです。
     
遺跡でも見つけたよ!  
 
     
名前  土人形(江戸時代)
遺跡  広島城跡八丁堀地点(中区)

 首をかしげて身構える様にすわる姿が、どこかユニークです。
  名前  土製の面(江戸時代)
遺跡  広島城跡法務総合庁舎地点(中区)
 野性的なサルの表情がいきいきと表現されています。


 シカ
 
分類  哺乳類 鯨偶蹄目 シカ科
分布  日本全国の山林
 オスの頭には角があり、毎年はえかわります。その角などからは釣針やモリといった道具が作られました。古くから狩りの重要な対象となったとともに、神聖な生き物ともされました。また、その鳴き声が愛されて歌によまれてきました。
     
遺跡でも見つけたよ!  
 
     
名前  シカの骨と角(江戸時代)
遺跡  広島城県庁前地点(中区)

  名前  土人形(江戸時代)
遺跡  広島城跡法務総合庁舎地点(中区)
 シカの肉付きや、脚をおってすわる様子をうまく表しています。


 イノシシ
 
分類  哺乳類 鯨偶蹄目 イノシシ科
分布  北海道、東北地方をのぞく日本全国の山林
 体形はずんぐりしていますが動きがすばやく、攻撃のときは全速力で相手に突進します。オスの下あごの犬歯は特に大きく、武器となります。シカとともに古くから狩りの重要な対象でした。生命力が強く、一度に多くの子を産むことから、豊かさのシンボルともされました。イノシシが家畜化したのがブタです。江戸時代の広島城下では、なんとブタが数多く飼われていたという記録があります!
     
遺跡でも見つけたよ!  
   
     
名前  イノシシの骨と歯(江戸時代)
遺跡  広島城跡法務総合庁舎地点(中区)

 


 キツネ
 
ニホンザル 分類  哺乳類 食肉目 イヌ科
分布  日本全国の野山
 イヌに似ていますが、顔付きがほっそりとし、長く毛がふさふさしたしっぽを持っています。夜行性で用心深いとされ、タヌキなどとともに人間を化かすといわれた動物の代表です。稲荷神のお使いとしてもよく知られます。
     
遺跡でも見つけたよ!  
   
     
名前  土人形(江戸時代)
遺跡  広島城跡八丁堀地点(中区)

 


 クマ
 
分類  哺乳類 食肉目 クマ科
分布  日本全国の山林
 日本で最強のケモノです。本州、四国などにはツキノワグマ、北海道にはヒグマがすんでいます。ツキノワグマにはその名のとおり、胸に三日月形をした白い毛が生えています。寒い時期には木にあいた穴や岩穴で冬眠し、メスはその間に子供を生んで育てます。
     
遺跡でも見つけたよ!  
   
     
名前  ツキノワグマの骨(江戸時代)
遺跡  広島城県庁前地点(中区)

 


 ウサギ
 
ニホンザル 分類  哺乳類 ウサギ目 ウサギ科
分布  日本全国の野山
 夜行性の小型のケモノで、耳が長いことも特徴です。狩りの対象、ペットなどとして人間との関わりが深く、「因幡(いなば=鳥取県東部)の白兎」や月に住むウサギといった説話でもおなじみです。
     
遺跡でも見つけたよ!  
 
     
名前  土人形(江戸時代)
遺跡  広島城跡法務総合庁舎地点(中区)

  名前  磁器の手塩皿(江戸時代)
遺跡  広島城跡八丁堀地点(中区)

 まるっこい顔や姿がとてもかわいいウサギです。



 ヘビ
 
分類  爬虫類 有鱗目
分布  日本全国の野山
 ウロコに覆われた長いひもの様な体をし、全身をくねらせて移動(蛇行)します。成長の際は脱皮をくり返し、毒をもつ種類もあります。古くから神の化身ともされるなど信仰の対象となり、「八岐大蛇(やまたのおろち)」をはじめ数多くのヘビにまつわる説話も残されています。
     
遺跡でも見つけたよ!    
   
     
名前  蛇行剣身(古墳時代)
遺跡  空長第1号古墳(安佐南区)
 その名の通りヘビの様にくねった形をした剣で、神聖なヘビの姿を写したとも考えられています。

 


 チョウ
 
ニホンザル 分類  昆虫類 チョウ目
分布  日本全国の野山
 幼虫は植物の葉を、成虫は主に花の蜜をエサとします。カラフルな美しい羽で、花から花へ飛びまわる姿は大変親しまれています。こうしたことから、チョウは古くから絵や意匠にもよく使われ、平家がチョウの紋を用いたことも有名です。
     
遺跡でも見つけたよ!  
   
     
名前  磁器の銚子(江戸時代)
遺跡  広島城遺跡基町高校グラウンド地点(中区)
 一番上の大きなチョウがとてもあでやかです。

 


 番外:ゾウ
 
ゾウ 分類  哺乳類 長鼻目 ゾウ科
分布  アジア南部、アフリカの草原・森林
 陸の哺乳類では最大です。ユーラシア大陸と陸続きだった頃の日本にはナウマンゾウがやってきて、旧石器時代人の狩りの対象ともなっていました。瀬戸内海は当時草原だったので、現在の海底からナウマンゾウの骨が見つかることがあります。1728年(享保3)年、将軍徳川吉宗が注文したオス・メス2頭のゾウがベトナムから日本へやってきました。メスは上陸地の長崎で死に、オスだけ陸路江戸に向かいました。その時、広島も通りました。
     
遺跡でも見つけたよ!  
   
     
名前  磁器の水滴(江戸時代)
遺跡  広島城跡太田川河川事務所地点(中区)
 優美な雰囲気のあるゾウの寝姿です。

 


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