弥生時代末期の「王家の山」

広島県史跡西願寺山墳墓群
(安佐北区口田)
      
西願山 西願山
空から見た西願寺山墳墓群 現在の西願寺山墳墓群
 県道三次線が山陽自動車道と交差する北西側の丘陵に広がる住宅団地はすが丘、その西端に弥生時代の終り頃(今から約1,700年前)の墓地「西願寺山墳墓群」が保存されています。
 広島市域で発見された弥生時代の墓の大半は、土壙墓や箱式石棺墓など簡単な構造で、大きさは長さ2m幅1m程度です。ところが、本墳墓群からは、長さ4m幅3mもの大きな穴の中に、1個約10kgもある河原石を、多いものでは1500個以上も丁寧に積み上げた竪穴式石室が複数発見されたのです。当時貴重だった鉄製の農工具を、ほぼ新品のまま十数点も副葬した墓もありました。
 このような石室を持つ墓は、弥生時代の終り頃の短期間、口田地区にかつてあった丘陵上にだけ造られました。その特殊性から、墓の主は口田地区のみならず、当時の太田川下流域を広く治めた特別な人々だったと考えられています。
 本墳墓群を訪れると、今でも精緻に組まれた美しい石室を見ることが出来ます。周辺こそ当時と様変わりしていますが、眼下に流れる太田川や対岸の山々の稜線は、葬儀に集った人々も眺めたことでしょう。

JR芸備線安芸矢口駅下車徒歩12分
路線バス(各社高陽方面行き) 矢口上バス停下車徒歩11分


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