市指定重要有形文化財 絹本著色弘法大師画像(けんぽんちゃくしょくこうぼうだいしがぞう) |
弘法大師は、平安時代初期に真言宗を開いた高僧空海のことです。真言宗の寺院では、大師は仏、菩薩に準ずるとして、その肖像画を御影堂に掲げ礼拝しました。この画像もそうした目的のために描かれたものでしょう。椅子に座り、右手に五鈷杵、左手に数珠を握るもっとも一般的な構図をとり、掛物として使用できるよう仕立てられています。 この画像は、阿曽沼氏の家臣脇之秀種と、真福寺の住職らの世話で、永禄9年(1566)に僧宥良が、蓮華寺の子院吉祥坊に寄進したものだと伝えられています。蓮華寺は、領主阿曽沼氏の祈願所とされた大寺院でしたが、その後慶長年間に福島正則によって寺領を召し上げられるなどして衰え、やがて廃寺となりました。しかしこの画像は、中野村(安芸区中野)の庄屋野間氏によって持ち伝えられたそうです。また、毎年3月21日の法会の日には、寺から僧侶を招いて読経を行い、各地から参拝のために人々が集まってきたと言われています。 人々のあつい信仰心に護られてきたこの絵は、室町時代後期のものとはいえないほど鮮明な画像を保っている優れた作品です。 |
「広島市の文化財」広島市教育委員会編より。 |
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