県天然記念物 長束の蓮華マツ(ながつかのれんげまつ) |
昔から街道筋や神社、寺院などに好んで植えられたクロマツは、私たちにとって馴染み深い木で、各地に名松が残されています。 安佐南区長束の蓮光寺にあるクロマツもそのひとつです。この木はそのあまりの美しさに、近江八景(滋賀県)のひとつ、唐崎(からさき)の名松さえ足を洗って(または跣で)逃げ出すほどだと言うので、「洗(跣)(せん)足唐崎松」と呼ばれたと言います。どっしりとした主幹から四方に向かって水平に伸びる枝が、境内全体をほとんど覆いつくす姿は実に見事なものでした。地を這うようなその形から、「臥竜(がりゅう)松」「蓮華の松」とも呼ばれていたそうです。 蓮光寺の前身は、鎌倉時代に下安に建立された松陰坊だと伝えられています。現在の地に移ったのは、一説に寛永7年(1630)のこととされ、クロマツはその記念として植えられたものだと言われています。以来この地で350年の年月を重ね、長束に伝わる「麦たたき歌」の中にも、 松を見なはれ蓮光寺の松を 天をおそれてもとをはう もとをほうても蓮光寺の松は 極楽浄土の蓮華松 と歌われて、地元の人々に親しまれ続けてきました。 しかし、最近ではマツクイムシの影響から枝葉が衰え、樹勢の維持を図る措置により、樹形が変化しています。 |
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「広島市の文化財」広島市教育委員会編より。 |
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