学芸員が普段の仕事の中で感じたことや、日々のこぼれ話、お気に入りの展示物などを紹介します。
「スカイレールとその後」
2025.4.30
2024年(令和6年)4月30日、とある短距離交通システムが26年の歴史に幕を閉じました。その名は、「スカイレール」。路線としての正式名称は広島短距離交通瀬野線(愛称はスカイレールみどり坂線)で、世界で唯一の走行システムを持った画期的な交通機関でした。
このシステムの一体何が画期的だったのかというと、高架のレールにゴンドラ型車両を吊るし、ワイヤロープを引っ張って動かすという、モノレールとロープウェイの技術を一体化したシステムを採用したことです。
駅を出発した車両はロープを掴み(握索)、駅間を18km/hで走行。次の駅に近づくとロープを放して(放索)、駅構内はリニアモーターで制御を行っていました。
桁構造と車輪で車体を支えるためロープウェイより強風に強く、またモノレールよりも急勾配に優れるというメリットがありました。
スカイレールの最急勾配は263パーミル(1,000m進むとき263m登る勾配のこと、角度にするとおおよそ15度)で、これはケーブルカー以外の鉄軌道では日本一の急勾配でした。特にみどり口駅へ向かう下りの路線では、ジェットコースターのような雰囲気を味わえたものです。
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![]() 左:スカイレールの車内から撮影。 |
さて、そんな唯一無二のスカイレールも、運行が終了して早一年。駅や桁構造などは2028年5月までに順次解体される予定ですが、在籍していた7両の車両たちは先んじて搬出され、一部車両は展示中、または展示予定となっています。
そのうちの一つである207号が、瀬野川公園にて展示されています。撮影日はあいにくの曇り空でしたが、化粧直しをした車体は青空のようにピカピカ輝いていました。将来的には上部に懸垂レールの一部も展示予定で、後方に見えるD51形蒸気機関車とともに屋外展示をする予定とのことです。
第二の人生を歩み始めたスカイレールの車両。D51形蒸気機関車と同じように、地域の“文化財”として保存・展示されていって欲しいです。ほかの6両についても、今後の動向を見守っていこうと思います。
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桜・D51形蒸気機関車と共演中のスカイレール207号。だれも見向きもしないのがちょっぴり悲しい。 |
文化財課主事 友井 瑞希
「遺跡の出土品に会いに行こう!」
2025.4.14
新年度がはじまりましたね。以前も何回かご紹介しましたが、(2025.2.26「文化財課の蔵書事情」、2025.2.19「リアルな土器パズル」)「埋蔵文化財保存活用施設」が4月から本格始動したので、ご紹介します!
○1階ロビー
西区の文化財を紹介する展示や発掘作業に関する展示、文化財課の業務に関する展示を行っています。土器に触れられるハンズオンコーナーもあるほか、こども図書コーナー等もあり、歴史に関する書籍を閲覧することもできます。
子どもから年配の方まで気軽に立ち寄れるスペースになっています。
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発掘調査速報展示 |
こども図書コーナー |
○2階 出土品展示室があり、広島の歴史や各区の遺跡について知る ことができます。解説付きの見学をご希望の方は、あらかじめ お問い合わせください。なお、施設の見学可能日は平日の9時 から16時となっています。 みなさまのご来館を職員一同お待ちしております。 |
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このほかにも、文化財課では出土品を活かした歴史体験事業を行っています。今後の開催予定は、ホームページの情報コーナーに随時掲載していきますので、チェックをお忘れなく!
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古代体験 |
ものづくり |
文化財課学芸員 日原 絵理
- 2024.4.30
- 「スカイレールとその後」
- 2024.4.14
- 「遺跡の出土品に会いに行こう!」