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■解説 ~役人のベルト飾り‐石帯~

 石帯とは古代の役人が正装するときに用いた腰帯で、皮製の帯に石袴(せっか)と呼ばれる方形や半円形の石製の飾りが連続してつけられていました。石帯は役人の位によって大きさや形の組み合わせ、材質が異なりました。
 安佐南区長束西の権地古墓からは、合計7点の石袴が出土しました。この石袴がつけられていた石帯は六位または七位の官位に相当する人物が有するとされ、地方役人では高位の郡司クラスの人物にあたります。権地古墓に葬られた人はこの地域を支配した在地の豪族と考えられます。

 

■石帯(広島市重要有形文化財)

 方形の巡方(じゅんぽう)1点と半円形の丸鞆(まるとも)6点です。革帯にかしめたときの白銅製の鋲が残っています。
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■石帯復元図

 

■権地古墓(安佐南区長束西)

 権地古墓は標高約36mの尾根の南斜面にあります。石帯の飾りである石袴は、方形の巡方(じゅんぽう)1点と半円形の丸鞆(まるとも)6点で、遺骨を埋めたとみられる穴とその周辺の黒色土の中から、木炭片や土器類とともにみつかりました。状況から被葬者は他所で火葬され、その遺骨を桶状の木製品に入れて墓穴に納め、灰や遺物を含んだ土を上にかぶせたとみられています。古墓は出土物から平安時代初頭(9世紀初頭)のものと考えられます。『倭名類聚抄』によれば、この地域一帯は佐伯郡桑原郷とされ、付近には市内でも数少ない古代寺院(光見寺)もありました。

■出土品

●土器(広島市重要有形文化財)

 火葬のためか土器の表面は火を受けています。表面にわずかな緑釉の痕跡や、緑釉土器の特徴を持つものがあります。

 

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