『広島諸商仕入買物案内記幷ニ名所しらべ全』(広島市郷土資料館蔵)に見る文明開化
明治16年(1883)年発行の『広島諸商仕入買物案内記幷ニ名所しらべ全』は、広島の中心部、主に旧西国街道沿いの店舗や名所を絵入りで紹介したガイドブック。広島の文明開化の様子が読み取れる業種も紹介されています。
中の棚(現在の中区本通・立町)にあった時計屋。明治6年(1873)に導入された西洋式の定時法が、
すでに人々の生活になじんでいることがうかがえます。
慈仙寺鼻(現在の中区中島町)にあった写真館。屋外の写場や白幕の設置による採光の工夫など、まだ一般的でなかった写真撮影の一端がかいま見ることができます。
研屋町(現在の中区紙屋町・本通・立町)にあった建具屋。店舗右手の帳場にはガラス入り建具類を扱う看板が描かれ、江戸時代には高価だった板ガラスが日本家屋の建具に浸透し始めたことが分かります。
東引御堂町(現在の中区胡町・銀山町・堀川町)にあった理髪店。江戸時代の髪結いから続く店舗で、
髷を落としてざん切り頭となった男性ばかりが描かれています。画面右には、理髪店を示すサインポールが描かれています。