■解説 〜宇品陸軍糧秣(りょうまつ)支廠〜
陸軍糧秣廠は、「糧」=兵士の食料、「秣」=軍馬の飼料の調達・製造・貯蔵及び補給等を行う部署で、明治30年(1897)に設置されました。東京に本廠が置かれ、国内では札幌、大阪とともに、広島にも宇品海岸に陸軍中央糧秣廠宇品支廠が設けられました。明治40年(1907)には、御幸通西側にあった精米などを行う搗精(とうせい)工場を買収して支廠の工場とする一方、宇品陸軍糧秣支廠と改称されました。その後、明治44年(1911)には搗精工場の北側に缶詰工場を開設し、事務所も宇品海岸から缶詰工場内に移されました。
糧秣支廠では、高品質なものを安価で調達するため、民間からの購入を一手に行っていました。また、品質の保持が求められる米や麦の精米・精麦、特殊な技術と品質確保が必要な牛肉缶詰などについては、廠内の工場で製造していました。これら製造品とあわせて、民間から検査・購入したものを倉庫に貯蔵し、各部隊へ補給していました。