■解説 〜広島陸軍被服支廠〜

 陸軍被服廠は、軍隊用の被服材料の調達、修理、貯蔵、補給する部署として、明治19年(1886)に東京に本廠が設置されました。日露戦争前の明治36年(1903)には大阪に支廠が創設、明治38年(1905)に広島派出所が設置されました。広島派出所は明治40年(1907)に広島陸軍被服支廠に昇格し、終戦を迎えるまでこの名称で稼働しました。
 被服廠では軍服や軍靴の製造も行い、その他の下着、靴下等から、リュックや洗面用具に至るまであらゆる物品は民間工場に製造委託し、成果品の検査と管理を担っていました。広大な敷地内には工場と保管・補給のための倉庫群がありました。貯蔵する倉庫は特に害虫の侵入防止に気を配り、建物の随所に防虫対策がなされていました。こうして厳重に保管された物品は、主に広島、九州の部隊や海外派遣部隊に補給されていたようです。

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