指定の理由 |
第1号古墳から出土した短甲は、広島湾岸に畿内政権との結びつきをもった勢力の存在を示す貴重な資料です。また、同じ第1号古墳から出土した金銅製垂飾付装飾品は国内での出土例が極めて少なく、朝鮮半島伽耶地方に類例の分布が知られています。城ノ下古墳群の出土物は広島市域と畿内政権、さらには朝鮮半島との関係・交流を考察する上で貴重な資料として44点が広島市重要有形文化財に指定されています。内訳は銅製品2点、鉄製品32点、2点、須恵器4点、土師器4点です。 |
金銅製垂飾付装飾品 |
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全面に金メッキがされており、コイル状の飾り金具がついています。頭のあった位置から見つかったことから、髪飾りではないかと考えられています。国内では同様のものが出土した例が他にはありませんですが、朝鮮半島でコイル状の飾りがついたアクセサリーが多数見つかっていることから、朝鮮半島で作られ日本に渡ってきたものと考えられます。 |
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この装飾品は、出土状況が頭があったとされる位置の左右から見つかっており、頭の両側に一対で飾っていたと考えられます。しかし、この持ち主の人骨やましてや服装・髪の毛は長い年月の間になくなってしまい、実際どのように使用(装着)していたのかは想像の域を超えません。軸に何かを通した穴があいていることからそこに紐を通して髪にくくりつけたという説、その見た目が似ていることから結った髪にさす「かんざし・こうがい」説、髪飾りではなくピアスのように耳にさして耳飾りにしたという説まであがるなど、様々な使い方が考えられます。 |
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金銅製垂飾付装飾品の出土状況。 |
ガラス小玉・管玉 |
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ガラス製の小玉(左)と石製の管玉(右)。金銅製垂飾付装飾品に付いていたものではないかと考えられています。 |
横矧板鋲留短甲 |
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短甲とは古墳時代の「よろい」のひとつです。この短甲は鉄の板を鋲で留めていく鋲留(びょうどめ) 技法で作られています。鋲留技法は朝鮮半島から伝わった先端の技術で、厳密な設計図と高い鍛造技術が必要となります。短甲は畿内の古墳から数多く出土しており、鋲留短甲は畿内で大量生産し、地方に配付したもので、受領した人物は畿内政権の軍事的組織の一翼を担った人物ではないかと考えられています。 |
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復元品。短甲は城ノ下第1号古墳出土品の復元品、冑は中小田第2号古墳出土の横矧板鋲留衝角付冑の復元品です。 |
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短甲出土状況 。前胴部分は残りがよい状態で出土しました。 |
鉄刀・鉄剣 |
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鉄刀と鉄剣は遺体があったとされる位置の腰部分の左右から見つかりました。第1号古墳から出土しました。 |
鉄鉾 |
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袋部に長柄の先端をさしこみ、突き刺す用途で使用する武器です。第1号古墳から出土しました。 |
鉄鏃 |
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棺の内外から合計83本もの鉄鏃が出土しました。鉄鏃は茎の部分が長い長頸鏃(ちょうけいぞく)と呼ばれるもので、茎部には矢柄の痕跡を残すものが多くありました。 このことから、鏃だけでなく矢の状態でおさめられたことがわかります。第1号古墳から出土しました。 |
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鉄鏃等出土状況。遺体があったとされる位置の足下の位置です。 |
鉄製農耕具 |
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刀子を除き全てがミニチュア製品ですが、どれも木質が付着しており、実用品と同様に柄が付けられていたと推定されます。第1号古墳から出土しました。 |