指定の理由 |
太田川下流域東岸に限定した状況でみられる河原石を利用した竪穴式石室を含む墳墓群から出土した遺物は、卓越した内容の鉄製品を中心として構成されており、弥生時代後期(終末期)の広島市域における階層分化を解明していくうえで貴重な資料として23点が広島市重要有形文化財に指定されています。内訳は鉄製品(剣、斧、鏃、鎌、鏨、鑿)13点、青銅器(銅鏃)1点、土器(壺形土器等)9点です。 |
鉄剣 |
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長さ37.7㎝、最大幅2.9㎝、重さ175グラムの鉄剣で、僅かに切っ先を欠くが長剣です。目釘穴が4箇所あり、布と樹脂の付着した跡があることから、埋葬された時に布にくるまれていた事、そして剣には鞘ないしは柄がついた状態で埋葬されたと考えられます。これらの鉄製品は同時代のものと比べて優れたものと考えられています。 |
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鉄剣の実測図。灰色の網掛けが布の付着の跡、黒の網掛けは樹脂状のものが付着した跡です。 |
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第2号墓a主体から鉄剣が発見された時の様子。同じa主体から見つかった他の鉄器と違い、木棺の中に副葬されていたと考えられます。 |
やりがんな |
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全長21.1㎝、重さ30.5gの鉄鉇(やりがんな) で、板面を削る最終加工用の調整工具として使用されました。鉄剣が発見された同じ第2号墓a主体の内部に落ち込んだ円礫堆から発見されました。 |
板状鉄斧 |
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全長15.5㎝、重さ264.8gの鉄斧で、第1号墓a主体から出土した唯一の鉄製品で、板状に鍛造された扁平な長方形の形状をしています。 |
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実測図 |
袋状鉄斧 |
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全長14.3㎝、重さ135.9gの鉄斧で、中央部がくびれているが、刃部分がばち形に開いています。柄を装着する部分が袋に近い状態であることから、袋状の名があります。第2号墓b主体から発見され、木棺内に副葬されていたと考えられています。 |
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実測図 |
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第2号墓a主体の堅穴式石室から発見された鉄製品の様子。 |
鉄鎌 |
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全長15.6㎝の鉄鎌で、完形品の小型の鉄鎌。第2号墓a主体の堅穴式石室の石材の間から発見されました |
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第2号墓a主体の堅穴式石室の石材の間から発見された鉄鎌が発見された時の様子。発掘調査中に石材を一つ一つ取り上げて初めてその存在を確認しました。 埋葬の折りに置かれたものと考えられており、葬祭儀礼の存在が想定されます。 |
鉄鏃 |
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第12号土壙墓から発見された鉄鏃。木棺の蓋上に置かれたと考えられています。 |
土器 |
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第2号墓d主体の土器棺として使用された高さ67.1㎝の土器。第2号墓東側の周溝から発見されました。 |
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第2号墓東側の周溝から発見された様子。 |