「ハッチョウトンボ」は、1円玉ほどの日本一小さいトンボです。湿地にすみ、絶滅が心配されるこのトンボが、福田の休耕田で発見されました。そこで、ハッチョウトンボの観察と地域の歴史を学びながら、昔ながらの栽培方法で「古代米=ハッチョウトンボ米」を育てるユニークな活動が、広島市こんちゅう館、(財)広島市未来都市創造財団 文化財課・福田公民館、地域の皆様と一緒に実行されることとなりました。⇒バケツで古代米プロジェクトへいく

・11月26日(土) 第4回活動 収穫祭
  この事業のしめくくり、福田公民館で「ハッチョウトンボ米収穫祭」を行いました。これまでの活動をスライドショーでふりかえり、収穫したお米を脱穀・精米し、土器で炊いて試食をしました。生物・環境・歴史、様々な思いがつまったこの事業、おかげさまで無事終了することができました。

まずはスライドショーでこれまでの活動のふりかえり。最初の荒れ地のような田んぼをみて皆さんびっくりでした。見つけた昆虫・トンボ米の成長などが昨日のことのようによみがえりました。 参加者の方から感想を発表していただきました。みんなで作ってきたトンボ米、しっかり心に残っているようです。
収穫したトンボ米を土器で炊飯します。どんなふうに炊きあがるのか、皆さん楽しみにしていました。 ご飯が炊けるまでの間、火起こし体験をしました。
 
古代人は火を起こせなければお米も炊けないのです。 臼と杵で脱穀と精米体験。杵でつくと稲穂から米が外れ、脱穀ともみすりができます。
「手箕(てみ)」をつかってモミガラと米を分けました。モミだけを飛ばし、お米は飛ばさないようにしますが、これが難しい!ああ、お米が・・・ こちらは江戸時代に現れたスーパー農具「唐箕(とうみ)」でモミガラと米を選別。ハンドルを回すと簡単にモミガラと米が分けられます。もう手箕(てみ)には戻れない・・・
土器で炊きあがった紫黒米。とてもいい香りがしました。土器まで紫色に染まっています。 まちにまった試食です。白米とブレンドしたもの、紫黒米のみ、鶏肉やむかごを入れて炊き込みご飯にしたものの3種類を食べました。そして9月に田んぼでとったイナゴもつくだ煮として登場!どれも大好評でした。

・10月15日(土) 第3回活動 イネかり
  無農薬・無肥料で田んぼに来る生物を観察しながら古代米を育て、無事にイネかりを迎えることができました。今回は弥生時代の方法=石庖丁(いしぼうちょう)を使ってイネの穂だけ刈り取る「穂摘み・穂首がり」をしました。穂だけ刈り取るので田んぼの水を抜く必要もなく、生き物にも優しい方法です。

はじめに福田歴史文化保存会の中村会長から、福田の弥生時代のくらしについてのお話がありました。 つぎに田んぼにいる水生生物の観察です。ザルですくうと沢山の生き物たちがいました。
わずかな時間でもこれだけの種類のいきものが見つかりました。彼らに支えられてイネも大きくなることができました。 いよいよイネかりです。石庖丁の使い方を熱心に聞く参加者たち。「こんなので沢山の稲穂をつみとれるか」と少し不安そうでした。
   
初めは難しそうでしたが、だんだんコツをつかみ、最後は機械のようにすごいスピードでつんでいきました。  手持ちのカゴはすぐに稲穂で一杯に!
スズメのように群がる子供たち。そのまま食べてみるとほんのりと甘く、おいしくてやめられません。 収穫した稲穂をつみあげて記念撮影。目分量ですが60kg程はあるかと。次回は自分たちでつくったお米を食べます。

・9月11日(日) 第3回メンテナンス
 有志での水田の第3回メンテナンスを行いました。ちょうどイネの花が咲いていたので、イネの観察を行いました。その後は雑草を抜きながら、イネの葉を食べるコバネイナゴと穂をかじるオナガササキリを捕まえました。

紫黒米も緑米も穂がたくさん出ていました。緑米の真っ黒な穂を見ながらイネの花の説明中。 普段気付くことがないイネの花。花はとじていますが、穂の周りに白い「おしべ」が残っています。
虫カゴをもってイナゴ探し。捕まえたイナゴは今後のお楽しみに・・・ 「ワシもイナゴを捕っとります」(カマキリ談)。
カカシと一緒に記念撮影。順調に穂もつき、次回の刈り取りが楽しみです。 カカシを田んぼにたてて終了。頑張ってスズメを追い払うように!

・8月23日(火) 豊作の予感
 前回のメンテナンスの時にイネの葉についていた小さな何かのマユがたくさんついていました。これはホウネンタワラバチというおめでたい名のハチのマユでした。このハチがイネの葉を食べるガの幼虫に寄生するので、マユがたくさんあると害虫が少なくなり豊作になるとのこと。、また、マユの形が米俵に似ているのでおめでたいハチだそうです。

葉にプラーンとぶら下がったホウネンタワラバチのマユ。長さは5mm程度。 早くも穂が出てきた株がありました。他の株は準備もできていないので、先走って狂い咲き?したようです。

・8月18日(木) 第2回メンテナンス
 有志での水田の第2回メンテナンスを行いました。程よい天候のなか、水田の雑草抜きを中心に行いました。

農薬・肥料をまくこともなく、イネも順調に大きくなっています。一般的なイネはもう穂が出ていますが、紫黒米は9月上旬に穂がでます。 我らが田んぼの主、イシガメのイッシーもいました。
前回の草抜きからおよそ1か月、雑草もこんなに大きくなってます。 水田にはカマキリが何匹もいました。カマキリは銅鐸にも描かれています。古代人もイネの害虫を食べるカマキリには感謝していたのでしょう。
なんとタイコウチを初観察! 一時間ほどで作業を終了。皆様お疲れさまでした。

・7月9日(土) 第2回活動 ハッチョウトンボの観察と田の整備
 梅雨明けも発表され、さわやかな青空の下、第2回の活動日がやってきました。今日はこの田んぼのシンボル=「ハッチョウトンボ」の観察です。雑草も少なく、病気にもならず、イネは順調に育っています。

まずは、はやる気持ちを抑え田の整備。みんなで田んぼの雑草を抜いていきます。もうイネはみんなの腰のあたりまで伸びています。 やっちまったぜ!でも気にしなーい。
田んぼにはバッタの幼虫もたくさんいました。あんまりイネを食べんとってね。 いよいよハッチョウトンボの観察。そばにいるのに小さいので、みんなまだ気づいていません。その後ザルを使って水生昆虫も探しました。
ハッチョウトンボのメス。真っ赤なオスと違って、周りの景色と一緒になるのでなかなか見つけられませんでした。 みんなで集合写真!見えないけどハッチョウトンボも写っているかも?

・6月25日(土) 第1回メンテナンス
 有志での水田の第1回メンテナンスを行いました。水田の雑草抜き・稲のチェック(虫が付いていないか、病気にはなっていないか)・電気柵の周りの雑草抜きを行いました。

最初に稲につく虫の説明。メンテナンスに参加すると普段のイベントでは聞けないような話も聞けます。 イネの間を歩きながら雑草を抜いて行きます。
イネの葉を食べるイチモンジセセリの幼虫。見つけたら捕りますが、全部捕らずに一株に一匹は残しました。全て捕ると外虫を食べるカエルやトンボのエサが無くなる⇒カエルやトンボがいなくなる⇒害虫が大発生!となるのです。生き物との共存・バランスをとれば大丈夫です。でも、バケツ稲では捕ってくださいね。 トノサマガエルがたくさんいました。頑張って働いてね。
すっかりきれいになった水田。イネも順調に育っています。 すっかり夏日のなか、作業も終了。我らが田んぼ、皆さん熱心に動かれました。次回もよろしくお願いします。

・6月13日(月) ハッチョウトンボが飛び始めました!
 水田でハッチョウトンボが飛び始めました。大きく見えるかもしれませんが、一円玉ほどの大きさです。

ハッチョウトンボのメス。 ハッチョウトンボのオス。
田んぼの石垣ではモリアオガエルの卵を発見。 シカよけネットには・・・どうしてこーなるの?

・6月6日(月) 田うえから一週間後
 田うえから一週間後の田んぼの様子。

どのイネも順調に育っています。少し大きくなったみたい。 イシガメのイッシーもちゃんといました。

・5月30日(月) 第1回活動 自然観察と田うえ
 季節外れの台風により、第1回の活動日が30日(月)になりました。古代も今も天気には悩まされていたのでしょうか?今回は生物観察と古代米の田うえを行いました。

ハッチョウトンボのヤゴを観察し、その後、湿地の生物の説明ととり方をききました。手に持っているザルでさらうようにとっていきます。さて、どんなのがとれるかな? 何かがとれているかな?湿地の小さな生き物をいっしょうけんめい探しています。オオコオイムシ・クロゲンゴロウ・2〜3mmのガムシの仲間・シュレーゲルアオガエル・・・・さまざまな種類の生き物が見つかりました。
みんなでみつけた生き物の観察です。 いよいよ古代米のイネを植えます。その前に古代人から植え方の説明がありました。
ヒモにつけた目印の位置にイネを3本づつ植えていきます。みんな泥の感触が楽しかったようです。 田うえをしていたら、田んぼに住みついているイシガメがでてきました。田んぼの主ということで名前を募集したところ、ついた名前が「イッシー」です。これからよろしく!
きれいに植え終わった水田。手前は陸稲(畑で作る稲)ゾーンです。育ち方やそこに来る生物はちがってくるのでしょうか? みんなお疲れさまでした。これからが楽しみですね。


・5月21日(土) オリエンテーション

 初回は福田公民館でオリエンテーションを行いました。「生き物との共存」というこの事業のテーマの説明や自然観察についてをこんちゅう館から、歴史と古代米については文化財課から説明がありました。この後、ハッチョウトンボ米づくりをする田んぼの見学を行いました。

   
 映像を見ながらハッチョウトンボの説明を熱心にきく皆様。  遺跡から出てきた弥生時代の炭になったお米や、吹きこぼれのついた
土器など、お米に関わるものを紹介。本物の土器もさわりました。
   
田植えをする田んぼ(手前)を見ながら次回の説明。   「田植えまでガマンができない」と、さっそく田んぼに入るこどもたち。
   
 さっそくアカハライモリを発見!他にもいろいろな生き物がいました。これ
からが楽しみです。
最後にみんなで記念撮影!これからの期待とやる気を胸に「がんばるぞー」の掛け声でパチリ。