学芸員が普段の仕事の中で感じたことや、日々のこぼれ話、お気に入りの展示物などを紹介します。

「新酒の季節」

2020.4.23

杉玉の酒蔵 新型コロナウイルスの影響で、自宅で晩酌をすることが増えてきました。楽しみにしていたイベントが中止や延期となり、花見などの外出も自粛していると季節を感じることができず、もの寂しさを覚えていたところ、新聞に東広島市西条の酒蔵が新しい杉玉を架け替え、蔵開きを行ったという記事を見つけました。
 酒蔵では冬に酒の仕込みが始まり、新酒が完成すると、それを道行く人々に知らせるため、蔵の入口に青々とした杉玉を掲げることがあります。当然、青かった杉玉も時間の経過とともに枯れていき、茶色っぽく変化していきますが、この変化の具合も楽しみの一つなのです。深緑の杉玉は新酒、色味が薄くなってきたら夏酒、茶色くなってきたらひやおろしという風に、杉玉の色の変化は日本酒の熟成度も示しているのです。同じ蔵の日本酒でもこの熟成度合いによって味が異なるため、一年を通して様々な日本酒を楽しむことができます。旬のお酒と食べ物で、自宅でも旬を味わうというのもまた風情があって良いかもしれません。ただし、飲みすぎには要注意で(笑)

文化財課学芸員 髙土 尚子 / 写真:杉玉が掲げられた酒蔵(広島市安佐北区、2019年11月撮影)

「再生工場稼働中」

2020.3.25

火きり板 年度末となり、当課においても新年度にむけての準備を行っています。写真は古代体験の火おこしで使用する火きり板ですが、左右で板の幅が違っています。右側の幅の狭い板は、使用済みの板の片側を切断し、新たに加工し直した再生火きり板なのです。少しでも資源の有効活用につながればという思いでこうした作業を行っています。プロ野球の「野村再生工場」ならぬ文化財課の「火きり板再生工場」稼働中といったところでしょうか。
 このほか、火おこし関係の道具でいえば、火きり棒やこれまで何度も当コーナーに取り上げられた火口(ほくち)も製作しています。なかなか根気のいる手作業ですが、コツコツと作業に取り組み、新年度を迎えたいと思います。

文化財課指導主事 牛黄蓍 豊 / 写真:火きり板(右側が再生火きり板)

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