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学芸員が普段の仕事の中で感じたことや、日々のこぼれ話、お気に入りの展示物などを紹介します。


「出土遺物の実測から」

2022.11.24

私が文化財課に配属されて、初めて“文化財課ならではの仕事”を教わったのが、出土遺物の実測です。遺物の寸法を測り、方眼紙に作図していきます。まずは方眼紙に同心円を描き、同心円と遺物の中心を合わせて置くことから始めますが、遺物をどの向きに置いて描くのが適切に特徴を表現できるか、欠けた遺物の中心はどこか、方眼紙の上に遺物を置くところから時間がかかってしまいます。細かい目盛を見ることも難しく、使用する道具(注1)も初めて使うものばかりで戸惑いました。また図面には、より多くの情報を盛り込む必要がありますが、まだまだ知識が足りません。これから経験を重ねて、観察眼を養っていきたいと思います。

実測に携わるようになったことの影響もあり、先日、島根の方に足を延ばした際に、石見銀山に程近い温泉津町の「やきもの館」(注2)に立ち寄ってみました。ここでは、15段(長さ30 m)と10段(長さ20 m)の巨大な2基の登り窯が修復保存されているのを見ることができます。

登り窯は傾斜地を利用して、複数の窯が階段状に連なった形をしています。それぞれの窯には横口と呼ばれる薪を投げ入れる小窓があり、下段の窯の熱が次の窯へ伝わり、効率よく焼成ができるしくみになっています。焚き上がりの目安には、ゼーゲル錐(注3)の曲がり具合や、炎の色合いをみていきます。効率がよいとはいえ、人の手でつきっきりで温度調節をする必要があるため、作り手の方の苦労が窺えます。

文化財に携わるようになって、「歴史の勉強を改めてせねば…」と思っていたのですが、焼き物1つを見ても、作り方や焼き方には「科学が隠れているな」と思い、より興味深く感じています。以前、(広島ではないですが)科学館に勤めていたことがあるので、その時の視点も活かしつつ、分野は違えど通じるところをたくさん見つけ、発信していけたらと思います。

  (注1)細かい目盛を見るために、定規の目盛部分にルーペを取り付けることもあります。

  (注2)現在は3つの窯元があり、年2回の「やきもの祭」の1週間前、登り窯に炎が入る様子を見ることができる

      そうです。

  (注3)窯などの炉内温度を測定するのに用いられる、高さ約6センチの三角錐。アルミナその他を、融解する温

      度が異なるように配合して作る。セ氏6002000度の範囲の各種のものがある。1886年ドイツの陶工ゼ

      ーゲル(H.A.Seger)が発明。ゼーゲルコーン。

 文化財課学芸員 相原 秀子
      

画像上:実測で使用する道具例
画像下:登り窯(島根県太田市温泉津 やきもの館)

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